eスポーツ・ゲーミング法務について

eスポーツにおける法務の重要性

eスポーツは、近年世界的な注目を集め、急速に拡大している業界の1つです。日本においても、eスポーツイベントの開催や動画のライブ配信など、様々なビジネスが展開されています。特に、新型コロナウイルス感染症の影響により、オンラインでのeスポーツ大会が増加し、国境を越えた配信が数多く行われています。

このようなeスポーツ関連のビジネスを、スムーズかつ安全に行うにあたっては、法律上のリスクを可能な限り軽減・抑止するための準備を事前に行うことが必要不可欠です。eスポーツ(又はゲーミング)に関係する法規制は多岐にわたりますが(詳細は業務分野をご参照下さい)、いくつかの例を挙げると、以下のとおりです。

  • eスポーツの大会を開催する主催者としては、景品表示法や風営法、さらには、刑法上の賭博罪、賭博開帳図利罪の規制等、関連しうる法令に抵触しない形で大会を設計・運営するとともに、これを適切に反映した大会規約等も適切に整備する必要があります。
  • ゲーム事業者が、ゲームアイテムが有料で発行され、プレイヤーがそのゲームアイテムを消費して遊ぶことが予定されているゲームを配信する場合には、当該ゲームアイテムは資金決済法上の前払式手段に該当し、その発行者として、前払式支払手段の発行届出書を管轄財務局へ提出することが必要となり得ます(海外事業者が日本国内向けにゲームを配信する場合も同様です)。
  • ゲーム事業者が前払式支払手段発行者に該当する場合には、ゲーム利用者のために、毎年3月末及び9月末時点の未使用残高の2分の1以上の額の供託等による資産保全を行う必要があります。さらに、利用者への情報提供、財務局への定期的な報告書の提出当、業務委託先に対する適切な指導や苦情処理に関する措置等を行う必要もあります。
  • プレイヤーがゲーム内でアイテムを購入するという取引がある場合には、ゲーム事業者は、特定商取引法上、一定の事項を表示する義務を負います(特定商取引法11条)。
  • 利用者がゲーム上で互いにコミュニケーションを行うゲームを提供する事業者は、電気通信事業の登録・届出が必要となる場合があります(電気通信事業法16条)。

以上のとおり、eスポーツ(又はゲーミング)に関係する法規制は多岐にわたり、これらの法規制の遵守状況を事前に確認すること無しには、ビジネスを適法に継続することができないというリスクのみならず、企業又はeスポーツチーム・選手としてのイメージの低下といったリスク(レピュテーションリスク)を負う可能性があります。以上のようなリーガルリスクを可能な限り事前に軽減又は予防すべく、専門の法務アドバイザーによる的確なアドバイスを受けることが肝要です。
さらに、eスポーツ選手と所属チームの関係において、利益の分配・支払方法、費用の負担、知的財産権等の諸権利の帰属、禁止行為といった重要な事項について事前に明確な合意を締結しなかった場合には、事後的に、これらの重要事項について意見の相違が生じ、争いの契機となるリスクがあります。そこで、eスポーツ選手と所属チームの間では、事前に、マネジメント契約(又は選手契約)といった契約を締結し、争いが生ずる可能性を可能な限り抑止することが望ましいといえます。

森&パートナーズ法律事務所が提供するサービス

森&パートナーズ法律事務所の所属弁護士は、長年にわたり、eスポーツ業界の関係者に対し、eスポーツやゲーミングを取り巻く各種の法的問題点に関する法的サービスを提供しています。弊事務所がクライアントに対して提供するサービスの例は、以下のとおりです。

  • ゲーミング関連の法令遵守状況にかかるdue dilligence
  • 賞金付きトーナメントの運営に関する法的助言・大会規約作成
  • 資金決済法上の前払式支払手段発行者を代理して金融庁への届出
  • 選手契約・マネジメント契約書のレビュー・法的助言
  • その他eスポーツ・ゲーミングに関連する諸法令(景品表示法、特定商取引法、風営法、刑法等)に関する助言
  • eスポーツ関連事業者の法律顧問業務
  • eスポーツ関連事業者へのインハウスサービス(法務アウトソーシング)
  • ゲームに関するライセンス契約書作成
  • 海外事業者との契約交渉・契約書作成

当事務所の所属弁護士が関与した近時のeスポーツ・ゲーミング関連業務の例は以下のとおりです。

(ご了承を頂いた案件及び公開されている案件のみ、具体名を記載しています)。

Ⅰ. 規制法・コンプライアンス対応

(※資金決済法、景品表示法、特商法、広告・データ関連法務など)

  • 欧州パブリッシャーに対する資金決済法上の届出代理および継続対応
  • アプリ内通貨販売に関する特定商取引法上の表示事項作成および助言
  • ゲーム広告(TV・OOH)の景品表示法・商標法・広告物条例等のレビュー
  • 米国系パブリッシャーの日本市場マーケティングに関する景表法対応助言
  • 米国系パブリッシャーのアイテム販売・マネタイゼーションに関する資金決済法・景表法助言

Ⅱ. 契約実務・取引支援

(※スポンサー契約、イベント、VTuber・IP関連契約)

  • eスポーツイベントのスポンサー契約の作成・交渉
  • VTuberによるゲームマーケティング契約の作成および助言
  • トーナメントの Global Rulebook 作成に関する日本法レビュー
  • Fanart Contest に関する著作権・応募要項レビュー

Ⅲ. 紛争解決・権利保護

(※契約紛争、模倣品・商標侵害、選手トラブル等)

  • プロチームと選手間の契約解除を巡る紛争における代理
  • ゲームパブリッシャーの商標権侵害(偽造品販売)対応
  • ゲーム内要素(キャラクター・ロゴ等)に関するIP助言

Ⅳ. M&A・Japan Market Entry

(※進出支援、ガバナンス、買収案件、代表就任等)

欧州パブリッシャーによる日本配信タイトルに関する法令遵守DD(Due Diligence)当事務所の所属弁護士が関与した近時のeスポーツ・ゲーミング関連業務の例は以下のとおりです。

欧州パブリッシャーの日本進出に関するリーガルカウンセル

シンガポール系ディストリビューターの日本進出および事業運営サポート

米国企業によるゲームパブリッシャー買収案件に関する日本法助言

Supercell Oy の日本代表(Japan Representative)としての法務支援

Metacore Japan G.K. の共同代表(Co-representative)としての法務支援

米国系ゲームパブリッシャーの日本子会社に関する Employment Counsel